フィリピン政府は30日、中国と対立している南シナ海の領有権問題について、
国連に仲裁を正式に請求した。
フィリピンは、中国が南シナ海にいわゆる「9段線」を設定し、それ以内の領有権を
主張していることについて、数カ月間にわたって国連に異議を申し立てる準備を進めてきた。
フィリピン政府が提出した仲裁請求書は、40以上の地図を含め4000ページ近くに及ぶもので、
中国がフィリピンの排他的経済水域の約80%を含め、南シナ海のほぼ全域の領有権を
主張していることに反論している。
両国が争っている南シナ海には、原油や天然ガスが豊富に存在するとみられ、
またスカボロー礁(中国名・黄岩島)など豊かな漁業水域もある。
2012年にはスカボロー礁近辺で、両国の艦船がほぼ2カ月間にわたってにらみ合いを続けたこともある。
中国はこれまでのところ、この問題では仲裁に応じない姿勢を示している。
フィリピン政府は1月に、国連海洋法条約に基づき国際仲裁裁判を請求し、今回請求書を提出した。
国連の仲裁裁判所は、これを受けて次の段取りを決定する。
デルロサリオ・フィリピン外相は30日、仲裁請求は「フィリピンの正当な領有権を守り、
国際法に基づく公正かつ永続的な解決策を確保するためのものだ」と述べた。
これに対し中国外務省は同日夜ウェブサイトに声明を載せ、南シナ海の領有権問題は
直接交渉によって解決されるべき2国間の問題であるとの従来の立場を繰り返し、
「フィリピンの請求書がどのようなものであれ、紛争の直接の原因はフィリピン側が南シナ海の
岩礁を不法占拠したことにある」と主張した。
http://si.wsj.net/public/resources/images/BN-CD502_0331ph_G_20140330202946.jpg フィリピンと中国は現在、南シナ海のセカンド・トーマス・ショール(仁愛礁)の帰属を
めぐってにらみ合いを続けている。
フィリピンは、1999年に周辺水域で座礁した同国船に同国将兵を少数駐屯させている。
中国は、これら駐屯将兵に対するフィリピン側の補給の妨害を図り、フィリピン船は中国の
沿岸警備艇の隙を突いて物資を送り込んでいる。
最近では、フィリピン側は物資を空中投下せざるを得なくなっている。
http://jp.wsj.com/article/SB10001424052702303702904579472143828741638.html?mod=JWSJ_EditorsPicks