http://mainichi.jp/select/news/20140308k0000m040059000c.html 取り調べの録音・録画(可視化)の制度化を検討している法制審議会の「新時代の刑事司法制度特別部会」が7日開かれ、25人の委員のうち郵便不正事件で無罪が確定した村木厚子・厚生労働事務次官ら5人が連名で「可視化の対象範
囲は原則全事件とすべきだ」とする意見書を提出した。連名で意見書を出すのは極めて異例。4月以降も続く部会の議論に影響を与える可能性がある。
5人は村木氏の他、痴漢冤罪(えんざい)事件を題材とした映画を監督した周防正行氏▽連合事務局長の神津里季生氏ら、いずれも刑事司法の専門家でない委員。これまでの議論から「共通の考えを持つに至った」として意見をまとめた。
意見書は、可視化を義務化する範囲について、警察や検察の委員が支持する「裁判員対象の逮捕事件に限る」案を「部会設置の契機となった郵便不正事件も対象とならず、あまりに矮小(わいしょう)化されている」と批判。原則全事件での
可視化を求めた。
その上で、2月の部会で複数の委員から提案された「検察の取り調べは全事件を可視化する」新制度でスタートし、警察の取り調べにも拡大していく「段階的実施」なら同意できるとした。
意見書に対し、元検事総長の但木敬一委員は「刑事事件に関わる委員が虚心坦懐(たんかい)に読んで、真摯(しんし)な態度で考えていく必要がある」と発言。元日本弁護士連合会会長の宮崎誠委員は「(段階的実施は)実践的で、現実的
な方法だ」と賛意を示した。【伊藤一郎】