降圧剤バルサルタン(商品名ディオバン)の臨床試験疑惑で、東京地検特捜部は19日、
薬事法違反(誇大広告)容疑で製薬会社ノバルティスファーマ(東京都港区)や京都府立医大(京都市)の
家宅捜索に入った。ノ社側はこれまでの厚生労働省の調査に対し、データ操作への関与を否定しているが、特捜部は、
実態解明には強制捜査で関係資料を押収する必要があると判断したとみられる。
厚労省や民間の「薬害オンブズパースン会議」(代表・鈴木利広弁護士)がノ社を告発していた。
厚労省によると、ノ社は2011〜12年、データ操作された京都府立医大と東京慈恵会医大の臨床試験結果を
広告記事などに使い、「バルサルタンは脳卒中の予防効果も高い」
などとバルサルタンの効果を誇大に広告した疑いがあるとしている。
厚労省は昨年10月〜今年1月、薬事法に基づく調査でノ社に関係書類の提出を求め、社員らの聞き取りを
実施したが、不正に関わった個人の特定には至らなかった。このため法人としてのノ社以外は「氏名不詳」として、
1月9日に東京地検に告発した。薬事法には法人を処罰する「両罰規定」があるが、適用には役員や従業員らの
立件が前提となるため、特捜部は、関係者から事情聴取して不正に関わった個人の特定を目指すとみられる。
バルサルタンを巡っては、京都府立医大と慈恵医大、滋賀医大、名古屋大、千葉大の5大学が臨床試験を実施。
いずれもノ社の社員(既に退職)がデータ解析などに関わりながら、論文では肩書が伏せられていた。
ノ社広報部は「捜査には協力していく」、京都府立医大は「真相解明のため全面的に協力する」とコメントした。
http://sp.mainichi.jp/journalism/listening/news/20140220org00m040003000c.html