「この打者はさっきどこに打った?」「高めの球を右中間です」「何球目?」「4球目です」
星稜高校の練習試合。矢継ぎ早の監督やコーチの質問にマネジャーの宮崎健太(17)=3年=が即座に答える。
70人を超すチームの縁の下の力持ち。部室の掃除、練習準備、ノックのボール渡し、球拾い、道具整理……。
「ちょっと肩が開いてるよ」。打撃不調の選手らには、助言も惜しまない。
「健太がいるからプレーに集中できる」。チームメートは声をそろえる。
宮崎は中学時代、「全国一」に輝いたメンバーだ。小学2年生から始めた野球は、風邪で学校を休んでも、練習を休まないほど夢中になった。
6年生で石川県選抜に選ばれ、もっと自分を試したいと星稜中学に進んだ。07年、チームが全日本少年軟式野球大会で全国優勝したときは3年生。
打撃で活躍し、決勝では1番センターだった。
その二日後の8月18日。練習からの帰り道、交差点で軽乗用車に自転車ごとはねられた。フロントガラスにたたきつけられ、15メートル飛ばされた。
右大腿(だい・たい)骨骨折。全治10カ月の診断だった。
退院後すぐ、松葉づえをついて、グラウンドへ行った。プレーすることが大好きだった野球。でもいまは、こうやって、見ていることしかできない。
自分にできることは何なのだろう――。
ふと、両親の姿と重なった。小学生の頃から、岡山や横浜への遠征も含めて、週末ごとに試合に来てくれた。
「星稜の黄色いユニホームを着て甲子園に行く」、そう一緒に夢見て、休みをつぶし、見守り続けてくれた。あの支えがあったから、これまで野球に打ち込めた。
入部早々、山下智茂総監督(65)に言われた言葉も思い出した。
「レギュラーが活躍できるのは、マネジャーや控えがいるから」「野球だけじゃない。社会に通用する人間になれ」
今度は自分が支え手になろう。チームと、両親と、共に甲子園に行くために、自分ができることは裏方としてチームを支えることだ。
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