アルツハイマー病研究でデータ改竄か。税金30億円も投入wwwww
ではまず、今回は一連のデータ改竄の背景を簡単に解説しよう。
問題となったJ-ADNIとは、MCI(軽度認知障害)を持つ被験者を対象とした臨床研究のこ
とで、このMCIというものがゆくゆくは重度の認知症(高次脳機能障害)へと発展していくのか、
するとしてどのような形質や習慣を持つのかを確認するために、長期的な経過を見るための
元となるデータを蓄積しようというプロジェクトだ。
報道されている内容は限定的だが、臨床研究をする者としてこの問題の深刻さを表している。
それが被験者の短期記憶の程度を知るために実施する「論理的記憶II」という心理テストだ。
この基礎的なテストでデータが改竄されていたことが発覚したのであるから、その上に積み上げ
るべき分析の信頼性が根本的に失われるということは、医療従事者でなくとも容易に理解できよう。
この「論理的記憶II」とは、被験者が解するであろう日常使う母国語の長文を読み聞かせ、
読了30分後にどれだけの長文の内容を記憶していたのかを採点し判定するという、被験者
の認知程度を知る極めて重要なデータである。
MCI(軽度認知障害)は、いわゆる軽い物忘れであり、これが認知症のような経年によって
重い問題を引き起こす障害であるのか、単純に疲労やストレスなどによって一時的に起こし
ているものなのか、外部的には判断しづらい。しかし、一定の日数をかけて定点的に観測し
続ければ、それが認知症に至るプロセスか、それとも健常な状態に戻るのか分かるはずだ。
そして、この「論理的記憶II」においては、30分という決められた時間が経過した後に長文が
思い出せるのかどうかが重要である。今回のJ-ADNIは日本で行われている臨床データを
海外の標準と揃えて互換性を持たせることも目的のひとつであるので、きっかり30分後に
読み聞いた長文を被験者に思い出してもらって判定しなければならない。