戦後間もない1947年から函館駅前・大門地区で営業してきた「カメラのニセコ本店」(函館市松風町)が30日正午で閉店する。
カメラを販売して自店で現像も行い、写真談議の場にもなる「街のカメラ屋さん」が66年の足跡を残し、函館の玄関口から姿を消す。
中古カメラを購入していた男性は「信用できる店だけに閉店するのは残念」と話した。
カメラのニセコは、現在の屋台村・大門横丁の場所で開業。店名は創業者で2000年に亡くなった秋葉礼治さんが戦前スキーに
通った山「ニセコアンヌプリ」に由来する。以後、移転しつつも松風町かいわいで店を構え、十字街などに支店を出したこともあった。
店内には常連客グループが写真旅行で撮影した風景写真が展示され、ギャラリーの役割も果たした。また、講師を招き写真教室を
企画するなど、店と客との距離が近かった。
ただ、大型店やネット通販との競合でカメラ販売は薄利となり、経営の柱のプリントも、デジタルカメラの普及で注文が減った。
高校卒業後、33年間勤めてきた平野吉明社長は、支店の「MEGAドン・キホーテ店」(美原1)や外商の売り上げの落ち込みも
考慮し「やめたくないが、赤字経営になる前に決断した」と明かす。
今月上旬に閉店を告知したところ「近所から写真屋さんがなくなってしまう」などと存続を求める電話が相次ぎ「1週間は仕事に
ならなかった」。現在は、新品のカメラやフィルムなど一部を除く商品を半額で処分するセールもあり、来店者が絶えない。
常連客で写真歴約40年の自営業笠原重雄さん(66)=的場町=は「札幌の大型店でもカメラは買えるが、ここは写真談議が
できる場所。仲間とは『なくなったらどうする』と話している」と惜しむ。
「MEGAドン・キホーテ店」は来年3月24日まで営業する。
http://www.hokkaido-np.co.jp/news/chiiki2/512135.html