日銀の黒田東彦総裁は2日午後名古屋市内で会見し、午前中の講演でことし4月に始めた異次元緩和について
2014年末が期限ではないとの見解を示した理由について、「外国人に期限は2年との誤解がみられるため」
と説明した。明言したわけでないが、追加緩和を検討する場合、2015年にも現状のペースで
国債買い入れなどの資金供給を継続するのも一案であることを示唆した。
<追加緩和なら15年末マネタリーベース340兆円か>
黒田総裁は午前の講演で、14年末にマネタリーベース(資金供給量)が270兆円、長期国債残高が
190兆円に膨らむ見通しを示したグラフについて、14年末が異次元緩和の期限を示すものでないと述べていた。
仮に2015年も現状のペースで年60−70兆円マネタリーベース(資金供給量)を増やし、長期国債を
50兆円買い増し、15年末のマネタリーベースを340兆円まで増やす場合、それは追加緩和になるかとの
質問に対して、総裁は明言を避けた。ただ、「現時点では14年度後半から15年度前半にかけ
2%近づくとみている。それで答えになるのでは」と述べ、14年末までに2%達成が難しいと判断する場合は、
現状ペースでの15年中の資産買い入れが追加緩和手段の選択肢であることを示唆した。
<2年2%目標修正不要、日銀の採用「遅きに失した」>
黒田総裁は対外的に物価が2%に到達しただけでなく、安定的に2%で推移するまで異次元緩和を継続すると
繰り返しているが、達した後安定的に推移するまで要する期間については「数字で言いにくい」と明言を避けた。
10月末以降、9人の政策委員のうち4人が物価の下振れリスクについて公言しており、2%目標の達成をめぐり
政策委員内の見解が揺れているように見受けられるが、
総裁は「大勢の物価見通しは4月以降大きく変わっていない」と述べた。
<円安で輸出数量伸びないのは海外要因大きい>
昨年11月の衆院解散によるアベノミクス発動以降、急激な円安にもかかわらず輸出数量が伸びていない理由について、
「円安が輸出にもたらす効果にはタイムラグがあるほか、海外経済が4月の想定よりも弱いため」と説明した。
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPTYE9B104M20131202