吉野家ホールディングスが福島県でコメの生産を始める。
10月1日付で同県白河市の地元農家などと共同出資で農業生産法人を設立。
牛丼店の主要食材を安定調達するため自社生産のノウハウを蓄積するほか、
東日本大震災の被災地支援にもつなげる。
政府が推進する農地集約も追い風に外食業の農業参入が広がっているが、
外食大手が自社でコメ生産を本格的に手掛けるのは初めて。
農業生産法人「吉野家ファーム福島」の資本金は1000万円で吉野家の議決権ベースの出資比率は49%になる。
2014年度からコメのほか店舗で使うタマネギや白菜も生産。
耕作放棄地などを借りて17年度までに約13ヘクタールまで農地を広げる。
コメは同年度には年間35トンの収穫を目指す。
生産物は全量を吉野家が買い取る。
中間流通コストが省けることなどから、市場価格より3割程度安価に調達できるという。
業務用のコメ価格が高止まりする中、自社生産の技術を獲得する。
農作物は県による放射性物質の検査のほか自社検査も検討し安全性を確認する。
農業生産法人では地元から雇用する考え。
大手企業の参入で被災地の農業再生に弾みがつく可能性がある。
吉野家は09年に同法人「吉野家ファーム神奈川」(横浜市)を設立し、
神奈川県内の約4ヘクタールの農地でコメや野菜の試験栽培をしてきた。
来年度には黒字化のメドがたち、福島県でより大規模な農場運営に乗り出す。
農業を成長分野に位置づける政府は都道府県が放棄地を借り上げ
農業生産法人などに貸し出す新制度を14年度にも導入する考えだ。
こうした流れを受けて農業を手掛ける民間企業が増えている。
http://www.nikkei.com/article/DGXNASGF27089_Q3A930C1MM8000/