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東日本大震災:福島第1原発事故 菅元首相ら40人、不起訴へ 「電源喪失、東電は予測困難」
毎日新聞 2013年09月08日 東京朝刊

 東京電力福島第1原発事故を巡り、業務上過失致死傷容疑などで告訴・告発された当時の東電幹部や政府関係者ら約40人について、
検察当局は全員を不起訴にする方針を固めた模様だ。原発が津波で浸水して事故が起きることを具体的に予測するのは困難だったと
判断したとみられる。

 被災者らに告訴・告発されていたのは、勝俣恒久前会長(73)ら当時の東電幹部や、事故対応に当たった菅直人元首相(66)ら政府関係者。
第1原発には13メートル超の津波が到達し、電源が喪失して原子炉を冷却できなくなり、炉心溶融や水素爆発などで放射性物質が拡散した。

 関係者によると、東電は2008年、最大で15・7メートルの津波が想定されると試算しながら、防潮堤建設などの対策を取っていなかった。
だが、検察当局が専門家から事情聴取したところ「福島沖で発生する地震・津波の科学的知見は定まっていなかった」との意見が大勢だった。
東電の試算も乏しいデータに基づくもので、津波高も3メートル台から15・7メートルまで幅があったという。

 東電側が試算当時に意見を聞いたとされる東大地震研究所の佐竹健治教授は毎日新聞の取材に「(三陸沖から房総沖までの)日本海溝
沿いの地震(の予測)は研究が進めば分かるかもしれないという不確定な状態だった。検察にもそう話した」と語った。

 一方、津波到達後の東電幹部や政府関係者らの対応について、検察当局は、原発内の放射線量が高く作業が困難で、放射性物質の拡散
回避は難しかったと判断。住民らの被ばくについても、「健康被害は科学的に立証されていない」として「傷害」とは認めない方針だ。

http://mainichi.jp/feature/20110311/news/20130908ddm041040167000c2.html