「富士山」弾丸登山者 SOS次々
「頭が痛くて、吐き気もする」。二十八日午前零時すぎ、青い顔をした男性がセンターのドアをたたいた。
浜松医科大付属病院から派遣され、二日前に来た宮津隆裕医師(27)が診察室に通し、男性の顔に
酸素ボンベのマスクを当てた。
外気温は氷点下に近い。時折激しい雷雨が襲う。六畳と二畳の部屋にベッドを一つずつ備え付けただけの
診察室に、男性の後も似たような症状を訴える人が五人も続いた。一時間ほどで室内は患者でいっぱいに
なった。
初めて富士登山したという大阪府東大阪市の自営業の男性(21)は、五合目(二、四〇〇メートル)を
二十七日夜に出発した。徹夜で登り詰めた後に御来光を眺めて、そのまま下山するつもりだった。
いわゆる弾丸登山だ。
ところが、登り始めてすぐに吐き気とめまいを感じ、センターがある八合目でついにダウン。「外回りの
仕事をしていて体力に自信があり、安心してしまった」とうなだれ、五合目に引き返した。
三重県伊賀市の女性公務員(24)も弾丸登山で吐き気を覚え、診察室で二十分ほど休憩して下山した。
午前五時半までに七〜五十九歳の男女計十四人が診察を受け、いずれも高山病と診断された。うち半数
以上の八人が、弾丸登山をしていた。
http://www.chunichi.co.jp/article/shizuoka/20130729/CK2013072902000089.html