http://mainichi.jp/select/news/20130723k0000e030199000c.html イラク:刑務所襲撃 アルカイダメンバーら約500人脱獄
毎日新聞 2013年07月23日 12時07分
【カイロ秋山信一】イラクの首都バグダッド郊外にあるアブグレイブ刑務所が21日夜、武装勢力に襲撃され、ロイター
通信によると、死刑囚として収容されていた国際テロ組織アルカイダのメンバーら500人以上が脱獄した。犯行声明は出
ていないが、治安当局はアルカイダなどのイスラム教スンニ派武装組織による計画的犯行とみている。
イラクでは昨年末以降、シーア派主導のマリキ政権に対するスンニ派組織の反発から、双方のテロ攻撃が激化しており、
非政府組織「イラク・ボディー・カウント」によると、今年の死者は4200人を超えている。今回の脱獄によって、スン
ニ派組織がさらに勢いを増す可能性がある。
ロイター通信などによると、武装勢力は21日夜、刑務所の門の前に乗り付けた複数の車を爆発させた。迫撃砲や携行式
ロケット弾の援護を受けて、刑務所内に侵入。混乱に乗じ、イスラム教のラマダン(断食月)に合わせて屋外で日没後の食
事をとっていた収容者らが逃走した。衝突は22日朝に軍のヘリコプターが到着して事態を収拾するまで続き、治安部隊側
は少なくとも35人が死亡、武装勢力も4人が死亡した。
収容者が屋外にいる時間帯に襲撃が起きたことから、内務省は「内部に協力者がいた」との見方を示している。アブグレ
イブ刑務所は、2003年のイラク戦争後に米軍が収容施設として利用し、米軍兵士によるイラク人拘束者への大規模な虐
待が行われたことで知られる。その後、施設はイラク側に返還され、襲撃当時は死刑囚ら数千人が収容されていた。
一方、バグダッド北方のタジ刑務所も21日夜に襲撃されたが、治安部隊が撃退し、脱獄者は出なかった。治安部隊側は
16人、武装勢力は6人が死亡した。