http://sankei.jp.msn.com/region/news/130628/ngt13062814140002-n1.htm 環境省佐渡自然保護官事務所の長田啓首席自然保護官(41)が、7月1日付で同省国立公園課課長補佐に異動することになり27日、新潟県庁を訪れ、泉田裕彦知事に
離任あいさつを行った。同省の責任者として最前線でトキを見守った3年間について「(県が中心となって)非常に仕事がしやすい環境を整えてもらった。やりやすく、職員一
丸となって取り組めた」と振り返った。
泉田知事は「長田さんがいらして、野生復帰プログラムが(うまく)動き、自然界でのひな誕生に至ったのは感慨無量だ。県民だけでなく、国民も喜んでいる」と労をねぎらった。
知事が「思い出深いことは」と質問すると、長田氏は「自然界での孵化(ふか)の瞬間は忘れられない」と答えつつ、「一つ一つの課題に、専門家の先生から地域の方まで多く
人の意見を聞きながら方向性を選ぶ(佐渡独自の)やり方が印象深かった」とも話した。
長田氏は平成22年3月、放鳥訓練中のトキがテンに襲われ、9羽が死んだのを受け同年6月、管理態勢強化のため佐渡島へ着任した。
テンが侵入した佐渡トキ保護センターの放鳥訓練施設「順化ケージ」の改修や組織を見直し、飼育トキの繁殖・放鳥計画を陣頭指揮。
24年春には国内の自然界では36年ぶりとなるひなの誕生に立ち会った。
自然保護官の制服である黄色い「レンジャー服」を着るのもあとわずか。面談後、「久々のスーツ勤務は大丈夫か」との記者の問いに、「こんなに毎日レンジャー服を着たのは
人生で初めて。さびしいな。楽だから、異動初日は『かりゆし』でも着ていく」と笑って答えた。
長田氏は29日、佐渡発のフェリーに乗って離島する予定。後任は広野行男・上席自然保護官(40)が引き継ぎ、トキの野生復帰を進める。