酒井田柿右衛門さん死去:「有田の精神的支柱」惜しむ声
日本を代表する陶芸家で有田焼の人間国宝、十四代酒井田柿右衛門さんが亡くなった15日、
関係者や専門家からは惜しむ声が聞かれた。乳白色の素地に、明るく繊細な花鳥風月を描く
「柿右衛門様式」の伝統を守りつつ、現代に即した作品で独自の世界を切り開いた柿右衛門さん。
海外での展覧会や後進の指導にも力を注ぎ、飾らない人柄は多くの人に親しまれた。
15日午前9時半ごろに一報を受けたという佐賀県立九州陶磁文化館(同県有田町)の
鈴田由紀夫館長(61)は「体調を崩していたことは知っていたが、早くよくなってほしいと願っていた。
有田にとって最も大切な人を亡くしてしまった」と落胆した。
襲名前から親交があり、「有田焼として残すべき伝統を大事にしていた」と仕事ぶりを振り返る。
また「従来の美術工芸品だけでなく、食器など日常に使える器をどう生み出すか意識していた」とその先進性も評価する。
仕事への徹底ぶり、真剣さの一方、その人柄は「きどらず、偉ぶらない」と親しみを抱いていたという。
「有田の精神的支柱だった。本当に残念だ」と声を詰まらせた。
http://mainichi.jp/select/news/20130615k0000e040189000c.html