ドブ銭、実に8000億円−−。パナソニックの重い決断が波紋を広げている。2009年12月に大枚を
投じて子会社化した三洋電機の事業売却を加速することで“戦線”を大幅に縮小、事実上の「三洋解体」
に舵を切るからだ。
青写真によると、三洋電機の本社に勤務する約1000人の社員は、配置転換や早期退職で今年度中に
100人規模に縮小。国内外で2500人いる社員も3年後をメドに10分の1まで削減する。これに併せて
パナソニックと重複する事業を次々と売却することで、一時は売上高2兆円を誇った三洋電機は
一気に解体へ突き進む。
背景にはパナソニックが抱えた悩ましい事情がある。買収当時の三洋電機はリチウムイオン電池で
世界シェアの4割を握り、太陽電池も発電効率の高い独自製品で先行するなど、この分野で大きく
立ち遅れたパナソニックには羨望の的だった。大坪文雄社長(当時)は「三洋の電池事業を将来の
成長エンジンにする」とぶち上げ、野心をあらわにしたが、「そこに大きな落とし穴があった」と
関係者は振り返る。
「最初の誤算は、買収で合意した直後にリーマンショックの直撃を受けたこと。このダメージが
大きいところへリチウムイオン電池で韓国勢が猛然と追い上げたばかりか、円高の逆風にさらされた
こともあって大ダメージを被った。2011年には三洋電機の白物家電事業を中国家電大手ハイアール
に売却するなど、三洋の企業価値はますます低下。巨額の損失を抱え込むことになり、これが2年
連続で大赤字を抱える元凶になったのです」
今年3月期、パナソニックは7542億円の最終赤字に塗れた(昨年3月期は7721億円の赤字)。
損失処理で5088億円に及ぶリストラ費用を計上したことが響き、63年ぶりで無配に転落した。
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http://wjn.jp/article/detail/6196645/ ◎
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