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11 ヒマラヤン(家)
朝日 「橋下の憲法感は常識的だが、自民党の憲法感はかなり異質である」




天声人語 2013年 4月 11 日(木)付

 常識的な見解である。日本維新の会の橋下共同代表が9日、みずからの憲法観を所属議員に
語った。維新の会の説明によれば、おおむね次のような内容だった

▼「憲法というのは権力の乱用を防ぐもの、国家権力を縛るもの、国民の権利を権力から守るも
のだ。こういう国をつくりたいとか、特定の価値を宣言するとか、そういう思想書的なものではない」

▼憲法とは何なのかというそもそもの問いへの通説的な答えである。橋下氏は説いた。「きちんと
した憲法論を踏まえなければいけない。国会での議論を聞いていると大丈夫かなと思う」。基本的
な教科書も読まずして憲法を論じるべからず、と

▼その通りだと思いつつ新たな疑問が湧く。憲法改正を進める点では同じ自民党の憲法観と橋下
氏のそれは、互いに相いれないのではないか。橋下氏のいう立憲主義的な発想は公明党も民主
党なども共有するが、自民党はかなり異質である

▼憲法は国民が国家を縛るもの、法律は国家が国民を縛るもの。向きが逆さになる。そのことは
憲法99条が象徴的に示している。天皇、大臣、国会議員、公務員には憲法を尊重擁護する義務
があるが、国民には課されていない。ところが自民党の改正草案は国民にも尊重義務を負わせる

▼自民党は憲法で何かと国民を縛りたがる。家族は互いに助け合えなどと個人の領域に手を突っ
込みたがる。こうしたそもそも論の違いを残したまま双方が改憲で手を組むというなら、質(たち)の
悪い冗談というほかない。
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