「CDとレコード」 音がいいのはどっち?
昨年設立60周年を迎えた社団法人「日本オーディオ協会」の五十嵐裕史事務局長に聞いてみました。
「LPとCDのどちらがいいのかなんてナンセンス。音の良し悪しは録音そのものにあるし
再生に関しては、セッティングで音が変わる。最高のセッティングをすれば最高の音がする」
五十嵐さん、笑顔できついことをおっしゃる。日本オーディオ協会は業界だけなく技術的にも
高い知識を持った約400人もの個人会員で構成されている。まさにオーディオ愛好家の総本山といったところ。
意気消沈する記者に「まずはこれを聴いてください」と1枚のCDを差し出す。
協会が60周年記念に製作した「音でたどるオーディオの歴史」。
エジソンの肉声に始まり、数々の歴史的な録音が収められている。
名録音といわれたものを徐々に現代に近づきながら聴いてみる。
「つまりLPとかCDではなく、録音の状態でこれだけの差が出るということです」。
続けてモノラル時代の名録音といわれている「無伴奏チェロソナタ」を聴く。
「1950年代の録音だが、結構いいでしょ。もとの録り方がすごいとこれだけいい音に聴こえるのです」
方向性を変えてLPとCDのそれぞれの長所短所を尋ねてみた。
「マイクで空気の振動を拾って信号に変え、カッティングマシンで刻むLPには
すべてが記録されてます。一方で外部からの影響を受けやすく劣化もします」
「CDならデータを転送すれば劣化はまったくなく、ノイズもない。
欠点はサンプリング周波数により記録品質が制限されること」
LPで聴いた名盤をCDで聴いたらガッカリしたという意見もありましたが。
「製作する過程の問題でしょう。大元は同じアナログテープなんです。
サンプリングの状態が悪いと100%の音を取り出せない。マスタリング工程の不具合で、
L4Pのときのような感動が生まれなかったという結果論ですね。初期の頃は良くなかったけど、
最近のCDの音は良いという声を耳にしますが、リマスタリングといってマスタリングし直しているケースが多いですね」
http://sankei.jp.msn.com/life/news/130301/trd13030114200011-n1.htm