2013-02-15
■[児童ポルノ・児童買春]免田さん救済法案と児童ポルノ単純所持罪がバーターに 07:19
取材前線=政治が問われている 東京支社
2013.02.13 熊本日日新聞
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税と社会保障の一体改革の議論が焦点となった昨年の国会。与党・民主党の分裂、衆院解散、政権交代−と慌ただしく1年が
過ぎた。そんなドタバタ劇のしわ寄せを食った懸案がある。冤罪[えんざい]による再審無罪判決から今年で30年を迎える免田栄
さん(87)=大牟田市=の無年金問題だ。
国民年金制度が施行された1961年、免田さんは既に拘置中の身だった。日弁連は2002年、「誤判で年金加入の機会を不当
に奪われた」として厚生労働相に支給措置を取るよう勧告。民主党政権に代わってようやく、議員立法による救済の動きが出始
めた。10年夏ごろから再審無罪の元死刑囚に年金を支給する法案の国会提出を模索、野党にも水面下で何度か打診した。
しかし、“ねじれ国会”の壁は厚かった。交渉役を担った民主党議員によると、自民党は法案賛成の交換条件に、児童ポルノの
単純所持を処罰できるようにする法改正を持ち出してきたという。この議員は「単純所持の処罰は問題点もあり、受け入れられな
い。暗礁に乗り上げてしまった」とほぞをかむ。
民主党単独で国会提出して世に問う手も考えたが、一体改革で野党の協力を取り付けたい執行部は認めなかった。結局、条文
案まで出来上がっていた免田さんの救済法案は日の目を見ないまま、民主党は政権の座から滑り落ちた。
国会には優先順位があり、多数決の論理を背景にした政党の力関係で物事が決まることは致し方ないにしても、冤罪の犠牲者に
これ以上の不条理を強いる現状を放置して良いはずがない。「法の谷間に一人の人間が落ちこんだ時こそ国家の姿勢が問わ
れるはずだ」。免田さんの叫びを、政治はどう受け止めるのだろうか。(渡辺哲也、東京支社)
奥村徹弁護士の見解
http://d.hatena.ne.jp/okumuraosaka/20130215