読売「鳩山や村山は中国に利用されていることが分からないのか。国益忘れた言動は百害あって一利なし」
習・山口会談 首脳対話に必要な中国の自制(1月26日付・読売社説)
<前略>
中国は尖閣諸島の領有権問題での日本の譲歩を求めているのだろうが、
それは認められない。むしろ中国にこそ自制を求めたい。
昨年9月に日本が尖閣諸島を国有化した後、中国政府による日本の領海侵入は恒常化し、領空への侵犯も起きている。
不測の事態を防ぎ、日中関係を改善するには、まず中国が威圧的な行動を控えるべきだ。
公明党は、1972年の日中国交正常化の際、議員外交で大きな役割を果たした。
今回も、溝が広がった政府間の橋渡しをしようとする意図は理解できる。
尖閣諸島は日本固有の領土であり、領土問題は存在しない。日本政府の立場を堅持することが肝要なのに、気がかりな点がある。
山口氏が訪中前、香港のテレビ局に対し「将来の知恵に任せることは一つの賢明な判断だ」と述べ、「棚上げ論」に言及したことだ。
日中双方が自衛隊機や軍用機の尖閣諸島上空の飛行を自制することも提案した。
山口氏は習氏らとの会談では触れなかったが、看過できない発言だ。棚上げ論は、中国の長年の主張である。
ところが、中国は1992年に尖閣諸島領有を明記した領海法を制定するなど一方的に現状を変更しようとしている。
安倍首相が「自衛隊機が入る、入らないは、私たちが決める」と山口氏の発言に不快感を示したのは当然である。
村山元首相も、近く中国を訪れる。村山氏は、過去の侵略などへの「深い反省」を表明した村山首相談話をまとめた。
村山氏から中国寄りの発言を引き出したい中国の意図が見え隠れする。
先に訪中した鳩山元首相は、尖閣諸島を「係争地だ」と述べた。領有権問題の存在を認めたことなどから、
中国の主要紙が大きく取り上げた。中国に利用されていることが分からないのだろうか。
国益を忘れた言動は百害あって一利なしである。
(2013年1月26日01時36分 読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20130126-OYT1T00136.htm