物事を究極に成し遂げたいなら、他人をいいわけにするな
生命の起源は深海の熱水にある──。その仮説を実証すべく、大深度有人潜水調査船「しんかい6500」に
乗り込み40億年前の海で起こった事件を探り続けた地球生物学者、高井 研。
自分のプロジェクトに人を巻き込み、マネジメントする中で必要なのは「人間力」だと高井氏は説く。
地質学者や化学者など、あらゆる研究者を巻き込む大きな組織の中でどうコミュニケーションを取り、
多様な国籍や機関に所属する研究者の力を束ねながら共同作業をする上でどのように信頼関係を築いているのか、
また彼らを引き付け、結びつけているものは何なのか。
スキル(技術)の誇示では、人を納得させられない
サイエンスは実力主義で結果がすべての世界なので、どんなにコミュニケーションが苦手でも、立派な仕事をすれば勝てます。
しかし、プロジェクトの運営は、そうはいきません。研究者といえども、人間力、コミュニケーション能力を磨かなければ。
スキル(技術)だけで人を納得させることはできないのです。
僕の考える「人間力」の重要な要素として、2つ挙げる事ができます。ひとつは、「この人は自分にないものをもっている」と意識しながら相手を見ること。
自分にはない、飛び抜けた能力やプロフェッショナリティに対して敬意を払うことが、相手を信頼することにつながっていきます。
もうひとつ僕が心がけているのは、「誰に対しても裏表が無く、フェアに接する」こと。要するに、小学生でも大臣でも初対面では同じように接しようとしています。
それは心で決めた僕のポリシー。人を地位で判断せず、どんな人でもフラットに対応して自分の中で好きだと思ったら付き合う、嫌いだと思ったらやめる。
(中略)
「人間力」、特にフェアであることについて考え始めたのは、子どもの頃です。僕自身片親でしたし、豊かな家庭とは言えませんでした。似たような環境の友人もたくさんいます。
そういう環境で育った子どもは差別されがちで、人間関係に対してとてもセンシティブな感覚を持つようになるんです。友人が差別されているのを見ていつも感じていた憤りが、
「人は人間性で判断すべき」という考えにつながっていきました。
つづきはwebで
http://wired.jp/2013/01/17/kentakai/