【櫻井よしこ 安倍首相に申す】「性奴隷」というが奴隷は米国の制度だ。
安倍首相が真の日本再生を目指すとき、恐らく最も困難な問題は歴史問題であろう。中国は
年間7千億円もの対外広報予算で、米国など日本と価値観を共有する国々の歴史認識を反日に導く
情報戦を展開してきた。結果、歴史観に関する対日包囲網が作られてきた。
一例が新年早々の『ニューヨーク・タイムズ』紙(NYT)の社説である。昨年12月31日、産経紙上で
首相が、1995年の村山談話に代わる「21世紀にふさわしい未来志向の談話を発表したい」と
述べたことを、ロイター電を基に激しく非難する社説だった。
「性奴隷」「右翼」「民族主義者」「修正主義」「恥知らず」などの修辞が多出する社説には感情的反発
と知識の欠落が顕著だ。
だが、わが国外務省は端(はな)から反論する気力を失っている。靖国問題であろうが慰安婦問題で
あろうが、米国の基本的価値観に反論すれば親日的な米国人も反発する、キリスト教的視点で慰安婦
の存在自体が悪いと責められれば、反論や説明の気力も萎えるというのだ。
官僚の発想に従う限り、日本は永遠に根拠なき不名誉に甘んじなければならず、日本に殉じた人々の
慰霊もできない。だからこそ、困難であっても政治家が日本の名誉を守るための課題に取り組み始めな
ければならない。米国人には日本の国柄と歴史を説き、日米両国の歩みには共通の失敗とより良い
未来への共通の志があることを丁寧に説かなければならない。
たとえば、戦時中の慰安所における売買春と同様の事例は戦後占領下の日本でも米国側の要請に
よって行われた。「性奴隷」というが奴隷は米国の制度だ。アフリカから幾多の人々を強制連行し、
人間ではなく物として扱った。
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/130110/plc13011003100002-n1.htm