シャープ再建の切り札IGZO液晶の“不都合な真実”
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キジトラ(東京都):
理由は最大顧客のアップルからの受注が止まったこと。iPad向けに第1、第2四半期と、それぞれ200万台以上
あった受注が、秋口から激減。10月に発売された廉価版のiPad miniにも需要を食われ、韓国LGディスプレイに
調達先を大きく絞り込まれた。自社製スマホも別工場で手がけるため、作る商品がないのだ。
あわてたシャープは、IGZOを搭載した高価な業務用ディスプレイの出荷計画を発表。しかし毎月1500台と少
量で「生産能力の数パーセントにも満たない」(シャープ関係者)のが現実だ。
そのため亀山工場のIGZO生産ラインは年度内、“眠りつづける”という公算が極めて大きい。
中間決算で掲げた亀山工場の「下期の稼働率5割」は、本当のところ“高級品”のIGZOではなく、標準的なテ
レビ用液晶を韓国サムスン電子向けに赤字覚悟で大量生産して支えることになる。
同社の奥田隆司社長は「IGZOはシャープを救う技術だ」と断言する。しかし実際のビジネスには、いまだに
大きな溝がある。
(「週刊ダイヤモンド」編集部 後藤直義)