橋下肝いり、学校選択制(バウチャー制)に、批判の声 「学校自体を競争させると教育格差が生まれる」
大阪市の橋下徹市長が教育改革の目玉施策に掲げている市立小中学校の学校選択制について、保護者や識者らでつくる検討会議が、利点だけでなく、
課題や慎重意見を多数列挙した両論併記の報告書案をまとめたことがわかった。
検討会議は、選択制導入に後ろ向きだとして橋下市長から「保護者の感覚とずれている」と批判を受けた市教委が設置したが、保護者らの間でも慎重意見
が根強いことが浮き彫りになった。
報告書案は、PTA代表や公募で選ばれた市民、教育委員、校長など20人の委員でつくる検討会議「熟議・学校選択制」が4月から議論を重ねて検討。27日の
最終会合で正式決定され、市内24区の各区長が区ごとに導入の可否を判断する際の基礎資料となる。
案では、「親の立場では、選択の自由が広がるのはありがたい」「学校の教育内容を公開していく良い機会」などの賛成意見が会議で出たことを明記する一方、
慎重意見や選択制導入に伴う課題を、利点以上にページを割いて盛り込んでいる。
最初に挙げたのは「校区外の学校に通う場合の安全確保」で、小学生の場合は遠距離通学が負担となるなどの懸念の声を紹介。また、校区外の児童を受け入れた場合、
市内の25%の小学校で増築が必要になるなど、学校施設の収容能力を不安視する意見、施設の新しさや立地条件など、学校側の努力だけでは改善できない理由で選択される、
といった問題点を挙げた。
(2012年9月26日12時58分 読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20120926-OYT1T00227.htm