16歳で飛行機仮免許、「鉄の神経」持つ船長
アポロ11号で人類で初めて月面に降り立った米宇宙飛行士のニール・アームストロング氏が、飛行機の仮免許を取ったのは16歳の誕生日。
自動車の運転免許を取るより先だった。米海軍パイロットを経たのち、その操縦技術や冷静沈着ぶりが見込まれ宇宙飛行士に選ばれた。
アームストロング氏は「鉄の神経」を持つと言われ、危機に際しての冷静さは尋常ではなかった。歴史的な月着陸では、船長として着陸船の操縦かんを握ったが、前方の着陸場所は
、大きな石がごろごろしていて着陸できない。着陸船内は警報音が鳴り響き、燃料の残量計はゼロに近づいていた。それでも平然と予定地点を飛び越え、平らな場所を見つけると静かに機体を着陸させた。
同じ着陸船で月に降り立ったバズ・オルドリン飛行士はその後、映画の出演や伝記の出版など表舞台に立ったが、アームストロング氏は対照的な人生を送った。
「淡々と自分の任務を果たしただけ」という気持ちが強く、むしろ、自分一人が米航空宇宙局(NASA)職員の栄光を独り占めしてしまったのではないかと悩んでいたらしい。
だから、わざと脚光を浴びる場所から遠ざかり、英雄視されるのを避けた。オハイオ州の自宅に引きこもり、一時は郵便も変名で受け取るなど世間との接触を避けた。
しかし、オバマ大統領がスペースシャトル退役後の宇宙開発を民間に譲るという方針を打ち出すと、そんな厭世
えんせい
家のような生活をしぶしぶ変えた。危機感を募らせ、珍しく米連邦議会など公の場所に姿を現して、「米国は宇宙開発のリーダーの地位から滑り落ちようとしている」と批判した。
http://www.yomiuri.co.jp/science/news/20120826-OYT1T00618.htm