【原発事故】「避難所はタダ飯、特別扱いだ」自活町民から批判、弁当有料化へ
自活町民と溝で…双葉町避難所の弁当有料化へ
東京電力福島第一原発事故で福島県双葉町の住民と役場機能が避難する埼玉県加須市の旧県立騎西高校で、9月から始まる弁当支給の有料化。
町がこの対応を決めた背景には、既に同高校などの避難所を出て生活する他の住民の、食費負担の公平化を求める強い声があった。
だが、同高校に残る住民の、有料化に対する反発も根強い。町民の間に生まれた溝は、自立や復興に向けた支援も行き届かないまま、避難所が1年半近くもの長期にわたり開設されていることが招いたとも言えそうだ。
同高校は、東日本大震災で開設され、現在ただ一つ残る公設避難所。約210人の住民が暮らし、食事は災害救助法に基づき、弁当が無償提供されている。
これについては、仮設や借り上げ住宅に移って自活する町民から「特別扱いだ」との批判がくすぶっていた。
9月1日からは、加須市内の弁当業者が同高校内で、弁当を3食計1100円〜1250円で販売する。1人あたり、毎月3万〜4万円程度の負担になる計算だ。
21日夜には同高校の町民約70人が集まり、意見を交わした。参加した町民によると、ほとんどが有料化に反対で、「弁当代が払えないなら、『死ね』ということなのか」と嘆く高齢男性もいたという。実際、同高校で暮らす過半数は65歳以上の高齢者で、要介護者もいる。
だが、一方で、同高校の町民から「避難所にどっぷりつかったままでいるわけにいかない」という声も聞かれる。
厚生労働省によると、町が弁当を有料に切り替えても、同高校の避難所としての位置付けが変わることはないが、災害救助法による避難所の開設期間は原則7日以内。間もなく1年5か月となる同高校は、想定を大きく超えてしまっている。
同省の担当者は「いつまでも避難所生活でいいとは思っていない。町民が安心して暮らせる住宅や施設に移れるよう、福島県などとも相談したい」としている。
(2012年8月24日09時13分 読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20120823-OYT1T00049.htm