慶應義塾大学(慶応大)は8月7日、熊本大学、名古屋大学、再春館製薬所との共同研究により、マウス
の皮膚をお湯につけることでシワを防げること、同時に熱によって体内で増える「熱ショックタンパク質
70(HSP70)」が重要な役割を果たしていることを発見したと発表した。
成果は、慶應大慶應大学薬学部の水島徹教授らの共同研究グループによるもの。研究の詳細な内容は、
皮膚科学の分野で最も権威のある米国科学雑誌「Journal of InvestigativeDermatology」に掲載される
と共に、9月19日からイタリアで開催される、欧州研究皮膚科学会で発表される予定だ。
まずマウスの皮膚を42℃のお湯に5分間つけると、HSP70などのHSPが増えることが発見された。次に、
42℃のお湯に5分間つけてHSPを増やした後に、紫外線を当てるという処理を10週間継続し、シワの
形成を調査。
結果は、37℃のお湯に5分間つけた対照グループのマウスでははっきりとしたシワができたが、42℃で
温熱処理をしてから紫外線を当てたグループではシワがほとんどできないというものだった。また、
HSP70を常に生産している遺伝子改変マウスでも同様にシワの抑制が見られた。これらの結果は、HSP
70が紫外線によるシワを防ぐことを示しているといえるだろう。
またこのメカニズムを検討したところ、HSP70がコラーゲンを分解するタンパク質を減らすことが確認された。
なお、HSPには、コラーゲンの生産を助け、コラーゲンの質を高めるHSP47というタンパク質もある。
研究グループでは、温熱によるシワの抑制には、HSP70だけでなく、HSP47も働いていると考え、現在研究を
進めているところだ。
42℃というのは、ちょっと熱めのお風呂の温度だ。人間でも紫外線を浴びる前にお風呂に入ると、マウスと
同様にシワを防ぐことができる可能性があり、今後の応用研究が期待されると、研究グループは述べている。
http://news.mynavi.jp/news/2012/08/08/011/