海外の企業や政府が日本国内で発行する「サムライ債」と呼ぶ円建て債券の発行が増加している。
今年の発行額は現在までに1兆2500億円を超え、通年では過去最高だった2008年を上回る
可能性が高い。欧州をはじめ世界経済の先行きが不透明な中で、リスク回避のために資金調達の場を
分散したい発行側の事情が増加を促している。
超低金利下で国内投資家が資金の運用難に悩み、売りさばきやすい事情も手伝っている。
サムライ債は1970年にアジア開発銀行が初めて発行した。
基本的に利子や満期になると返還される「償還金」が円建てで支払われ、購入する側にとって
為替リスクがないのが魅力だ。
今年は韓国輸出入銀行が5月にアジアの金融機関で最高となる総額1000億円を発行。
北欧最大級の金融機関であるスウェーデンのノルデア・バンクも今月15日に約1200億円
発行した。金融機関以外では、仏自動車大手のルノーが同じ日に323億円を発行している。
ルノーの案件で主幹事を務めた三菱UFJモルガン・スタンレー証券の
福島秀哉(ひでちか)マネージングディレクターは「今回に限らず(サムライ債は)非常によく
売れている」と話す。