【南京事件】 岡田監督「なぜ、そんな発言をするのか、理解できない。次の世代に遺恨を残していいのか」
「中止された黙祷」
3月11日、予定されていた黙祷(もくとう)は取りやめられた。
サッカー中国スーパーリーグの開幕戦を迎えた中国・杭州市での話である。リーグ初の
日本人監督となり、杭州緑城を率いる岡田武史・前日本代表監督の働きかけで、準備が
進められていた。
岡田監督がクラブ関係者を通じて、中国政府からの中止要請を聞いたのは数日前のことだ。
やり場のない憤りを抱き込むしかなかった。
河村たかし名古屋市長の南京事件を否定する発言から3週間。すでに多くの交流活動が
中止されていた。
「なぜ、そんな発言をするのか、理解できない。次の世代に遺恨を残していいのか」。
怒りの背景には、大人の責任として、どんな未来を残すのかという思いがある。
将来に重いツケを押しつけるという意味で、市長発言と、使用済み核燃料処理に長い時間を
要し、その処分場を決められないまま原発の再稼働を唱えるのは似ている。
そもそも、岡田監督が中国に渡った動機のひとつは、「政治で決着がつかなくても、草の根で
人と人との絆はつながっていて大きなことを成す」と信じているからだ。
17日に南京市であった第2戦はさらに物々しい警備だった。スポーツとは相いれない寒々
とした風景だったという。(潮智史)
2012/03/21(水) の朝日新聞夕刊東京版2面「窓〜論説委員室」から
ネット上のソース(全文は読めない)
http://astand.asahi.com/column/mado/