河村たかし名古屋市長の南京事件を否定した発言を巡り、中国側が反発を強めている問題で、河村市長は27日の定例記者会見で、「30万人もの非武装
の中国市民を虐殺したことはなかったのではないかという趣旨だった」と釈明し、発言を撤回しない考えを改めて強調した。しかし、虐殺や被害者数への見解
を問われると、「多くの意見があるから……」と明言を避けた。
「発言が、南京ではあたかも何もなかったと誤解された」。河村市長は会見の冒頭、「『いわゆる南京事件』を巡る一連の報道について」と題したコメント文を
読み上げ、「遺憾だ」と付け加えた。
河村市長は、「いわゆる南京事件」という表現は、「30万人もの非武装の中国市民を、日本軍が組織的に大虐殺したこと」を意味すると繰り返し説明。
南京市の訪問団の前では、「大虐殺」と発言するのは「言葉がいかにも残虐」なため、「僕なりに気を使い、大虐殺の言葉を使わなかった」としている。
質疑応答では、虐殺の有無に対する見解に質問が及んだが、市長は「虐殺の定義がない。そういうことを南京の皆さんと率直に議論したいと思う」と説明。
被害者数も「多くの意見がある」と述べるにとどめた。
また、南京市の訪問団を前に事件に直接言及したことについては、「決して違和感のある話ではなかった」と述べ、非礼にはあたらないとの考えを示した。
会見には、中国・香港のテレビ局1社も出席し、「虐殺はあったのか、なかったのか」「(訪問団を前にした発言は)市長として不適切ではなかったか」などと質問した。
会見後、同テレビ局の記者は「市長の発言は場所と機会を間違えており、おそらく不適切だと思う。南京や中国への配慮も欠けている」と批判、「今後どのように
中国と信頼関係を築くのか注目したい」と話した。
一方、盟友の愛知県の大村秀章知事は市長の会見について、「コメントは控えたい。ただ、一刻も早く事態を収拾して、これまでの中国との友好関係を継続して
ほしい」と述べた。
(2012年2月27日21時28分 読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20120227-OYT1T00799.htm