【東京マラソン裏話】津波で家族3人を亡くした男性、婚約者に完走プロポーズ ( ;∀;)イイハナシダナー

このエントリーをはてなブックマークに追加
1 ごてんば(富山県)

 「亡くなった家族のため、待っている人のため、必ずゴールしたい」。千葉県東金市の理学療法士、佐藤洋介さん(26)は重く、
止まりそうな足でアスファルトを蹴り続けた。背負ったリュックサックには自分を待つ婚約者の三須奈保子さん(30)に渡す指輪をしのばせていた。

 父、茂さん=当時(54)=には、昨年3月半ばに帰省し、彼女を紹介すると約束していた。しかし約束は果たせなかった。
故郷の宮城県名取市を襲った津波は両親も弟も実家も、全てをのみ込んだ。
 地震直後、母の則子さん=同(53)=の携帯に電話した。「サイレンも鳴らないし、大したことないんじゃないの」と話す則子さんに、
すぐに避難するよう伝えたが、それきり電話はつながらなくなった。自宅近くが津波に襲われる映像に不安が膨らみ始めた。
 3月20日、仙台市に住んでいた兄、大介さん(28)からの電話で、遺体安置所に向かった。翌朝、安置所で母に、そして、その日のうちに
父と弟の浩平さん=同(20)=の遺体にも対面した。祖父の晃さん(77)は行方不明のまま。
「全身の力が抜けた。父も母も弟も、今にも動きそうだった…」

 外出しなくなった。「何で生きているんだろう」と考えるようになった。そんなとき、高校の同級生に「一緒に
東京マラソンに出よう」と誘われた。練習を始めたが「こんなことをやっていていいのか」という思いも胸につかえていた。
 背中を押してくれたのは祖母の勝美さん(73)だ。出場を伝えると「どんどん前向きにやって」と笑顔を見せた。
自分が走ることで、周りを勇気づけることができるかもしれないと思えるようになった。
 初めてのフルマラソンはつらい道のりだった。「もう無理かもしれない」。諦めかけたとき、両親の顔が浮かんだ。
「これからは1人でやって行くんだぞ」と、最後に与えられた試練のような気がした。

 5時間44分51秒でたどり着いたゴール。待っていた三須さんにひざまずいて指輪を差し出した。
 「結婚してください」
 「とっても重い指輪ですね」と三須さんは応じた。傍らでは勝美さんが「よかったね」と涙ぐんだ。
 来月11日には三須さんと故郷を訪れる。「やっと連れてこれたよ。きれいでしょ」と、墓前に報告するつもりだ。

http://sankei.jp.msn.com/sports/news/120226/oth12022621060032-n1.htm