http://osaka.yomiuri.co.jp/e-news/20120101-OYO1T00255.htm?from=main3 「スプリング8」で科学鑑定…犯罪捜査組織が設立
ごく微量の物質を分析できる大型放射光施設「SPring―8(スプリング8)」(兵庫県佐用町)で、犯罪捜査の科学鑑定
を専門に行う組織が設立された。従来の1000倍の精度を誇る新しい分析技術に、警察OBら捜査のプロのノウハウを
生かすのが狙いだ。
組織は、和歌山・毒物カレー事件で鑑定人を務めた元兵庫県警科学捜査研究所長の二宮利男さん(69)や元警察庁
刑事局長、元大阪府警科捜研所長ら4人。「ナノ・フォレンシック・サイエンス(法科学)グループ」の名称で今後、増員する。
事件現場に残された微物を鑑定し、どう活用すれば容疑者特定や犯罪の立証に有効かなどをアドバイスする。合成
麻薬MDMAや覚醒剤中の不純物の分析結果などもデータベース化し、他の事件解決に役立てる。
1997年に建設されたスプリング8は、電子を光速近くまで加速して発生させる放射光によって1ピコ・グラム(ピコは
1兆分の1)以下の物質も分析できる。98年の毒物カレー事件では、被告宅とカレー鍋から採取された亜ヒ酸を「同一」
と鑑定し証拠採用された。以降、本格的に科学捜査で利用され、これまで計42件の捜査で活用されている。
2011年には、1フェムト・グラム(フェムトは1000兆分の1)単位の成分分析ができる装置も開発。指紋の溝に残る
物質も鑑定できるようになり、犯人が犯行前に何に触ったのかわかるという。
グループは同年12月、この新技術を学術や産業だけでなく、警察にも有効活用してもらうため、施設を運営する財団
法人「高輝度光科学研究センター」内に結成。リーダーの二宮さんは「これまで鑑定不可能だった微物でも、立件の決
め手になる」と話している。
警察庁犯罪鑑識官は「裁判員制度の導入などで客観的証拠に基づく捜査が重要性を増している。積極的に活用した
い」としている。
(2012年1月1日 読売新聞)
>元兵庫県警科学捜査研究所長の二宮利男さん(69)や元警察庁刑事局長、元大阪府警科捜研所長ら4人。
天下りではなさそうだな