美馬市が、6月から運行を始めたデマンドバス「美馬ふれあいバス」の利用者数が低迷している。
運行開始半年の11月末までの利用者は1523人。「1日100人」という市の見込みを大きく下回っている。
運行形態を見直すなどしたこともあって10、11月は増加傾向だが、それでも1台平均の乗客は1人以下。
予約ゼロで運行を取りやめる日もあった。山間部の高齢者ら“交通弱者”解消の切り札として、運行を始めたが、住民に浸透したとは言い難いのが現状だ。(土井省一)
同市内では、民間業者が路線バスを運行していたが、過疎化で利用者が減少して採算性が悪化。
一方、住民からは利便性の向上を求める声があった。交通の便が悪い地域の解消を目指すにはデマンドバスが最適として導入を決めた。
市内のタクシー業者3社に委託して、6月1日から運行を開始した。市内4地区に8人乗りのバスを1台ずつ配置し、地区をブロック分けして月〜金曜日に1日6往復運行。
運賃は大人500円、高校生以下300円。「自宅から希望する場所へ移動できる」がうたい文句だったが、住民にとっては、自分のブロックでバスが運行するのは週1〜2回程度のうえ、
前日までに予約が必要。6月の利用者はわずか181人。7月も159人、8月は200人を超えたが、9月は173人だった。
市では、乗車率アップを目指して、ブロックの区分けを変更、前日のみだった予約を当日も可能にするなどした。
さらに病院やスーパー、市の広報誌などで利用を呼びかけてきた。10月から民間の路線バスが廃止されたこともあって、同月は334人、11月は401人と増えた。
それでも市が、運行開始前に見込んだ1日100人には遠く及ばない。
低迷する要因を探ろうと、利用者にアンケート調査を実施。「毎日、使えるようにして欲しい」「隣のブロックの人と一緒に利用したい」などの要望があった。
市は、タクシー業者などでつくる市地域公共交通活性化協議会などで改善策を模索中。
「タクシー業者との共存も考慮しなければならず、要望をすべて聞き入れるのは難しいが、デマンドバスが市民に定着するようにしたい」と話している。
(2011年12月6日 読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/tokushima/news/20111205-OYT8T01150.htm 依頼277