「おめでとう」より「絆」 年賀状変えます
2012年用の年賀はがきが発売され、そろそろ年賀状の準備を始める時季。東日本大震災後、初
めて迎える新年だが、「被災地の知人に、例年通り『あけましておめでとう』でいいの?」と戸惑う人も
多いようだ。被災地への心配りをどう表現したらいいのか−。 (宮本直子)
東京都板橋区の主婦(51)は「毎年既成の年賀状を使っていたので今年はどうしようかと悩んでいた。
気持ちとしてはさすがに福島の人に『おめでとう』は避けたいです」。北区の会社員清水美智江さん(4
2)は「宮城にいる知人に送る分だけは、例年と違う賀詞に変えようと思案中です」と話す。
年賀状などの印刷を手掛ける「アルファプリントサービス」(台東区)は今年、二百四十四種類の年賀
状デザインを用意した。うち二十二種類は震災を考慮し、祝いの賀詞を使わないタイプ。「ココロヲツナ
グ」「日本はひとつ」など絆を意識した言葉とともに、ハートや虹、人が手をつなぐイメージなどのイラス
トが優しいタッチで描かれている。
広報担当の吉田弥生さんは「十月中旬からネットで注文を受けているが、現時点で全注文の約四割
が祝いの賀詞を使わないタイプ。予想以上の反響」と話す。通常のデザインでも、「新春の喜び」に代
えて「年頭のご挨拶(あいさつ)」としたり、「皆さまとの絆をより一層大切に〜」など、震災を踏まえた添
え文の選択肢も用意。そちらの注文も多いという。吉田さんは「直接被災地に送らなくても、震災に配慮
した気持ちを伝えたいという意識が強いのでは」と話す。
総合スーパーのイオンも祝いの賀詞を入れないあいさつ状を十五種類用意。「しあわせが花ひらきま
すように」「福いっぱい」など、前向きになれるようなメッセージをそろえ、今月四日から注文を受け付け
ている。広報担当の与語めぐみさんは「当初は関東、東北エリアのみで受け付けを始めたが、予想を
上回る注文があり、十一月末をめどに取扱店舗を本州、四国の全店に拡大中」と言う。
http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2011111902000034.html