野田佳彦首相が11日、記者会見で環太平洋パートナーシップ協定(TPP)への交渉参加を表明したことに対し、
野党はみんなの党を除き、強く反発した。ただ、自民党は党内に賛否両論がある事情は民主党と同じで参加の是非まで示せておらず、
公明党も同様。首相会見についての自公両党幹部のコメントも、発言の不明瞭さや説明不足などだけを批判する内容が目立った。
首相の交渉参加表明を受け、自らのスタンスをどう示すのか、自公両党の姿勢も問われている。
「『参加』ではなく『協議に入る』と言うのは、ごまかし以外の何物でもない。説明も覚悟もなく、首相の資質も問われる」。
自民党の大島理森副総裁は11日夜、党本部での会見で首相を批判。
公明党の山口那津男代表も「(首相会見は)抽象的な内容で、拙速の感をぬぐい去ることはできない」と非難した。
共産党の志位和夫委員長は、交渉参加表明の撤回を求め、社民党の福島瑞穂党首は「国会、国民に説明せず、ひきょうだ」と強調。
自民、公明、共産、社民、たちあがれ日本、新党改革の野党6党は11日、藤村修官房長官に、首相が参加表明しないよう申し入れた。
政権批判を強める自公両党だが、交渉参加自体の賛否は明確にしていない。
自民党内にはTPP推進派の議員もおり、意見集約ができていないためで、公明党も同様だ。
自民党の谷垣禎一総裁は11日、党本部でのTPP反対派の会合で「首相が参加表明したら、きちんと自民党の態度を示して対峙する」と強調したが、
逆に出席者から「その態度が示せていない。『内閣不信任決議案や問責決議案を出す』と言わないとだめだ」と突き上げられた。
一方、自公両党などが10日、交渉参加表明に反対する決議案を衆院に提出した際には、
TPP推進派で、衆院議院運営委員でもある小泉進次郎氏が「賛成できない」と主張し、急きょ委員を交代させる一幕も。
自公両党は、首相がアジア太平洋経済協力会議(APEC)から帰国した後に、TPPに関する衆参両院の予算委での集中審議を改めて求めているが、
自民党幹部は「その時までには党としての結論も出すべきだが、党内対立が表面化しかねない」と懸念している。
毎日新聞
http://mainichi.jp/select/seiji/news/20111112k0000m010144000c.html