鄭大均・首都大学東京教授インタビュー
姜尚中の耐えられない軽さ!? 在日をウリにする進歩的文化人の功罪とは
『在日の耐えられない軽さ』(中公新書)などの著書で知られる鄭大均(ていたいきん)首都大学東京教授が、
政治学者・姜尚中(かんさんじゅん)氏の批判本『姜尚中を批判する―「在日」の犠牲者性を売り物にする
進歩的文化人の功罪』(飛鳥新社)を上梓した。岩手県で在日二世として生まれ育った鄭教授は、2004年
に日本に帰化。その立場から、犠牲者性を軸にした多くの「在日論」に一貫して批判的なメッセージを
発信してきたひとりだ。在日外国人地方参政権に批判的なことでも知られる。一方、姜氏といえば、
東京大学教授にして『朝まで生テレビ』(テレビ朝日系)などの人気メディアにも多く露出し、在日コリアンの
被害者性を強調した『在日』(講談社)などの著書でも知られる著名文化人のひとりだ。岩手県出身の
在日二世・鄭教授が、熊本出身の二世・姜氏を批判する理由はどこにあるのか。鄭教授に執筆の背景と
「姜批判」のポイントを聞いた。(聞き手/浮島さとし)
――鄭大均教授も在日二世であるわけですが、この手の批判本を書くと「在日同士のけんか」という好奇の
目で見られることも多いと思います。
鄭氏(以下、鄭) 当然それは考えました。この歳になって他人の批判なんて本当はしたくない。そういうこと
は誰か他の人がやってくれたらいいと思ってました。しかし、どうやらそういうことをきちんとやれそうな人は
いない。ならば自分でやるしかない。やらなかったら、後で後悔するだろうと考えたわけです。本でも記して
いますが、「在日犠牲者論」というのはけっこう、影響力が強いんです。在日の犠牲者性を同語反復する
愚直さが、韓国や北朝鮮の発信する反日論とコラボレートして、実は世界的な影響力を発揮している。
パリに行ったって、ニューヨークに行ったって、在日だというと、強制連行について言及する人間がいる。
もう少し情報通になると、姜尚中という名前を語り始める。その発信地は日本なわけで、それを野放しに
していいのかという問題です。