抗がん剤を微小カプセルに封入してがん組織に届ける技術で、難治性がんとして知られる膵臓がんの進行を抑える動物実験に、東京大学の片岡一則教授らのチームが成功した。
成果は23日付科学誌「ネイチャー・ナノテクノロジー」に掲載された。
膵臓は他の臓器に比べ間質と呼ばれる細胞間の組織が多いため、抗がん剤の直接投与では、薬剤ががんに到達しにくい。
片岡教授らは、カプセルが間質を通り抜けられるよう、カプセルの直径を最小となる30ナノ・メートル(10万分の3ミリ・メートル)にして、膵臓がんを起こしたマウスに投与。
その結果、抗がん剤だけを投与した場合は、2週間でがんが約4倍になったが、カプセルに封入すると、がんがわずかに小さくなった。
膵臓がんは自覚症状が出にくく発見が遅れることが多い。米アップル共同創業者のスティーブ・ジョブズ氏も膵臓がんで亡くなった。
http://www.yomiuri.co.jp/science/news/20111024-OYT1T00297.htm