徳島市内に来春オープン予定の映画館の着工が11月に決まった。市内には常設映画館がなく、徳島市は
補助金を出して後押しする。だが、2次元を上映作品の中心に据える映画館は全国でも珍しく、運営の難しさも予想される。
映画館の事業費は1.2億円。2次元動画制作会社「ufotable」(本社・東京)が整備し、
市は補助金1500万円を今年度一般会計補正予算に盛り込んだ。2次元動画専用という聞き慣れない事業に、
市議側からは「映画館の事業説明が十分でない」との異例の指摘を受け、市は市議会産業交通委員会で
改めて説明した。
映画館は東新町1丁目商店街の地下1階、地上3階のビルの延べ床面積約1330m2を改装し、
2階に大、小2つのスクリーンを設置。座席数は大ホール約70席、小ホール約30席。
■休日は「専門館」
同社によると、座席数を減らしてでも、ゆったりと映画を楽しむ環境を整える意向で、大ホールの
スクリーンの横幅は約8メートルを想定する。また、1階はインターネット放送局。
地下1階はグッズの販売コーナー。3階は事務所。土日祝日は2次元映画を上映。既存の映画ファンも
楽しめるよう、平日の午前中からの上映は一般の洋画・邦画になるという。
■イベント機運に
徳島市内の映画館はかつて20以上あったという。01年に北島町にシネコン「シネマサンシャイン北島」が
できたこともあり、閉館が増え、今は封切り上映する常設映画館はない。映画製作配給大手4社でつくる
日本映画製作者連盟(映連)によると、県庁所在地で常設映画館がないのは徳島市だけという。
そんな中、09年10月から市内中心部でイベント「マチ☆アソビ」が定期的に開催され、愛好家が
県内外から集まるようになった。ユ社の近藤光社長(41)は、イベントの実行委員会の会長。
徳島市出身で市内に制作スタジオも構える。だが、「イベントの時期以外は人が歩いていない」と
嘆く商店街の声を聞き、日頃からアニメに触れることのできる空間を設けて、徳島に人を集めたいとの
思いで映画館の運営を決めた。
映連は「あのジャンルが中心の映画館は聞いたことがない。全国でも大変珍しい」という。大手映画会社
の東映によると、00年ごろ、東京・秋葉原と池袋に専門の映画館があったが、現在は無いという。
http://www.asahi.com/showbiz/movie/OSK201110070167.html