日本の航空自衛隊の空中給油機が、共同訓練などの際に米軍戦闘機に空中給油できる覚書
(MOU)を交わしていたことがわかった。自衛隊と米軍が昨年10月に結んだもので、藤村修官房長官
が3日の記者会見で明らかにした。憲法解釈で認められていない集団的自衛権の行使の可能性を
めぐり、運用のあり方が論議を呼びそうだ。
藤村長官は3日の会見で「過去、(米軍からの)一方通行だった給油を、日米共同訓練では自衛隊
から可能になる覚書を締結した」と説明した。日米両国は共同訓練や周辺事態、武力攻撃事態などの
際に、相互に燃料などを融通できる物品役務相互提供協定(ACSA)を結んでいる。今回の覚書も、
この協定に基づくというものだ。これまでの共同訓練では米軍の給油機が自衛隊機に給油していたが、
自衛隊の給油機は米軍機に給油していなかった。
自衛隊の空中給油機は2008年に初めて配備され、現在は航空自衛隊小牧基地(愛知県小牧市)
で4機が運用されている。ただ、空中給油機は戦闘機の航続距離・時間を延ばすことができ、海外で
の攻撃が物理的に可能になることから、「専守防衛の枠を超える」という批判もあった。
米軍の軍事作戦として展開する米軍戦闘機への給油は、憲法解釈で禁じた集団的自衛権の行使に
つながる恐れがあるが、藤村長官は「そのレベルの話ではないと判断している」と言及。憲法解釈上、
問題となるような運用はしないという考えを示した。
http://www.asahi.com/politics/update/1003/TKY201110030194.html