旧制秋田中:65年経て卒業証書 46年卒に授与 「証し得て人生に区切り」 /秋田
終戦直後の1946年3月に卒業し、卒業証書を受け取れなかった旧制秋田中学(現秋田高、高橋貢校長)の卒業生への卒業証書授与式が28日、秋田市手形の秋田高であった。
当時の卒業生11人が出席。在校生約940人が見守る中、高橋校長が1人ずつ卒業証書を手渡すと、代表して高橋昌一さん(81)が
「式を挙行していただき、誠に感無量です」と述べ、65年越しの証書に晴れやかな表情を浮かべた。【小林洋子】
式典は今年6月に東京であった同窓会で、卒業生から「秋田中学の課程修了を認定してもらえないか。中学生活にピリオドを打ち、青春時代に区切りを付けたい」という声が上がったのがきっかけ。
申し出を受けた学校側が了承して実現した。証書は欠席者も含め、連絡のついた34人に贈られる。
高橋さんによると、終戦直前の旧制秋田中は「学習はほとんど停止状態」だった。学徒勤労動員で工場の作業や農家の田植え、軍用機の燃料に使う松根油の採取などにかり出される日々。
苦しかったが、「同級生とは人として付き合った時間が長く、友情をはぐくむことができた」と振り返る。
終戦後、手形校舎で授業は再開されたが、45年9月に米軍が進駐して校舎は兵舎として接収。生徒と教職員は市内の小学校などに分散した。
さらに同12月に手形校舎が全焼し、高橋さんの世代は卒業式を開けなかった。
この日の式典では、高橋さんは在校生らに戦前、戦後の苦難の歴史を紹介。最後は温かい拍手に見送られ、涙を流しながら会場を後にした。
高橋さんは「秋田中学を卒業した誇りはあったが、証しはなかった。きょう証書をもらい、長い人生の中で一つの区切りになった。これからも社会に貢献していきたい」と明るい表情で語った。
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