風評被害で生活保護世帯急増 日光市
【日光】震災後、市内の生活保護世帯が急増した。風評被害による観光客の減少がホテル業界を圧迫、解雇された人の申請が目立つという。
市は生活保護関連で新たに約2億円を予算化し、保護者の就労支援などのため、生活保護自立支援員の増員を図る。
市生活福祉課によると、市内の生活保護者数は、リーマンショック以前の2008年3月末が493世帯(659人)。
昨年の予算編成時の10年10月末では595世帯(811人)と、2年半で徐々に増えてきた。
震災前のことし2月末時点では604世帯(814人)だったのが、3月から毎月過去最高を更新し続け、8月末現在で634世帯(843人)となっている。
受給者の増加だけでなく、相談件数の急増も顕著だったという。通常月の相談件数は20件程度だが、4、5月は50件以上の相談があり、同課は対応に追われた。
受給者は温泉ホテルなどが多い藤原地区に集中しており、
担当者は「温泉地のホテルに住み込みで働いている50歳代が解雇され、再就職できないため申請するケースが多い」と分析している。
受給者の増加に伴い、市は生活扶助、住宅扶助、医療扶助の不足分として1億9400万円を補正予算に計上した。
このほか、生活保護者の相談に乗り、就労を支援する「生活保護自立支援員」を震災後に1人増員、さらに今後1人増員して4人態勢として支援を強化する方針。
県医事厚生課によると、6月の県内保護率(全世帯に対する保護世帯の割合)は9・86%。
市町別で最も高いのが宇都宮市(15・48%)次いで佐野市(10・24%)日光市(9・42%)の順となっている。
http://www.shimotsuke.co.jp/news/tochigi/region/news/20110929/621152