つくばエクスプレス(TX)の開通に伴い、平成17年8月に開業した八潮駅(埼玉県八潮市)。その南口で
急ピッチで進められているパチンコ店の建設を巡り、地元が揺れている。「市の新たな顔である駅前に
パチンコ店ができたら街のイメージダウンになる」などとして住民グループが反発、
市民から集めた署名簿を市に提出するなど反対運動を展開しているのだ。市にとっても駅前への
パチンコ店の進出は“想定外”で、条例による規制などはできないのが現状だ。(木村庄一)
建設中のパチンコ店は、駅南口から直線で約100メートルの距離にある。八潮市開発建築課などによると、
約3670平方メートルの敷地に、6階建て延べ床面積約1万3490平方メートルの建物を建設する計画という。
市がこの計画を正式に知ったのは4月中旬ごろ。業者から宅地開発指導要綱に基づく事前協議の相談を
受けたのが最初で、「まさに寝耳に水の状態だった」(開発建築課)という。その直後の4月20日、
市条例に基づいて業者が建設予定地に工事内容を記した立て看板を設置。この時点で、
ようやく市民にパチンコ店の建設計画が知れ渡った。
パチンコ店西側には、道路を挟んで広さ1・4ヘクタールの駅前公園も整備される。こうしたことから、住民グループ
「八潮の良好な住環境を考える会」(事務局長・矢沢江美子市議)では「子供の教育上問題があり、治安も悪くなる」
などとして、建設反対署名運動を展開。市に対して、7月21日までに2回にわたり、計6266人の署名とともに
「駅前パチンコ店の建築中止並びに遊戯施設・風俗などの建築を制限する条例」制定の申し入れを行った。また、
市議会に「駅前パチンコ店の建設を阻止する議会の議決を求める請願」も提出したが、これは賛成少数で不採択となった。
一方、市側では住民の反対運動などを受け、業者に対して住民説明会の開催を要請。これを受けて業者側が
7月6日夜に上大瀬公民館で説明会を開催したが、平日だったこともあり、参加者は約30人だった。
この中で住民側は改めて計画の再考を求めたが、業者側は「パチンコ店ができることで治安が悪くなるとは
思っていない」として計画通り7月上旬に建設に着手。11月末には完成予定だ。
http://sankei.jp.msn.com/region/news/110915/stm11091522100011-n1.htm