世界の米国観にも変化−同時テロ10年、テロ戦不況で国力低下
http://www.worldtimes.co.jp/today/kokunai/110911-2.jpg 【ワシントン時事】米同時テロ後の10年間で、世界の米国観も変化した。
ブッシュ前政権が強大な軍事力を背景に単独で踏み切ったイラク戦争で、米国の威信は低下。
金融危機後は、巨額の戦費負担と経済低迷にあえぐ米国衰退への懸念が高まっている。
対テロ戦争は、超大国の国際的地位を大きく揺さぶった。
ピュー・リサーチ・センターによると、同時テロ直後、世界各国が米国に寄せた同情と連帯は、2002年には低下。
03年のイラク戦争開戦後は、西欧諸国や親米イスラム国でも米国の好感度が急減した。
08年の米大統領選でのオバマ氏当選で好感度は持ち直したものの、対テロ戦争への反感は根強く、
イスラム世界では「オバマ効果」も限定的だった。
08年の金融危機は米国の国力にも疑問符を付けた。18カ国を対象にした同センターの調査では、
中国が米国を追い抜き、超大国の座に「就いた」か「今後就く」と答えた人の割合は今年47%で、
そう思わないとした36%を上回り、09年の前回調査から逆転した。
この調査では米国人の間でも中国優位との回答が09年の33%から46%に急増している。
またメリーランド大学が米国人を対象に行った調査では、米国が二つの戦争に過剰な支出を行った結果、
国力低下を招いたと考える国民が66%に上った。
同センターで国際意識調査を担当するリチャード・ワイク副部長は「米国の覇権を懸念した国々で、
今は米国の衰退への懸念が生じている」と指摘。米国の単独行動主義への反発に代わり、
相対的な国力低下に伴う不透明感への不安が広まっていると分析している。
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