東日本大震災から半年目前の10日、福島県いわき市小名浜の「丸克商店」が津波で被災した鮮魚店を再開する。
大型連休から土日だけの営業を続けてきた店舗2階の食堂「まるかつ」も通常営業に戻す。
地震と津波の試練を乗り越えても、福島第1原発事故による「風評被害」の不安が重くのしかかるが、
同商店の三浦宏一専務(44)は「やるしかない」と再起を誓った。
同店は78年創業。89年に店を建て替えるなどして最大330人が食事できる大型食堂を併設した。
東北や関東の観光客を着実につかみ、震災前には1日500人以上が訪れる日もあったという。
小名浜港を襲った津波は店にも押し寄せ、高さ約1・6メートルまで浸水した。
魚のショーケースは押し流され、冷蔵庫と冷凍庫は使い物にならなくなった。
損害は魚や乾物といった商品だけで約8000万円にのぼる。
県内の漁協は魚の安全性が確認されるまで沿岸漁を自粛している。
自慢の近海物はしばらく水揚げされないため、市の魚「メヒカリ」は宮崎産を仕入れるという。
「人が来てくれるか……。風評被害が5年で収まってくれれば」と三浦さんは祈るように言う。
ピカピカのショーケースが並び、開店に向けて人の出入りが多くなると店の活気が戻ってきた。
妻雅代さん(46)は「期待と不安が両方あるけど、頑張りたい」と笑顔を見せた。
http://mainichi.jp/select/wadai/news/20110909dde041040016000c.html