台湾で日本人女子の書いた本がベストセラーになっている
遠藤諭
「ずっとばかで、良かった。と思ってる今日この頃」という便りが届いたのは、昨年の一二月下旬のことだった。
その一週間くらい前、『奇怪ね/一個日本女生眼中的台湾』(布克文化刊)という本を台湾で出した青木由香さんからのメールである。
彼女の本を紹介した台湾の新聞記事が添付されていて、誠品書店という台湾中に四○店もある書店で売上げ一位になったとある。
毎日のように新聞、雑誌やラジオ、テレビの取材が入っていて、ウンコをする暇もないとも書いてある。
海外で日本人の書き下ろした本が売れることはめずらしいと思う。
台湾の本屋さんに行けば、日本の作家の翻訳本がたくさん並んでいる。いま推理小説の人気があって、東野圭吾や土屋隆夫など日本の作家が目立っている。
夢枕獏の『陰陽師』が一○万部以上売れているかと思えば、幾米(ジミー)を生んだ国だけあって、『こげぱん』(たかはしみき)や『150cmライフ』(たかぎなおこ)など、
ハートフルな本も人気がある。しかし、台湾に住んでいる日本人の書いた本が、これだけ売れたことはないらしい。
ちなみに、『奇怪ね』が、いきなりベストワンになった誠品書店は、この一月、地上六階・地下二階の「信義旗艦店」をオープンして、アジアの活字マニアのニュースになっている。
その誠品書店が、ちょっと変わった日本人の書き下ろし本を面白がって、プッシュしてくれているようにも見える。
http://blogmag.ascii.jp/tokyocurrydiary/2011/09/post_194.html 年が明けて一月初旬、ふたたび青木さんからのメールが届く。「今週は、三位。ネット書店で四位。鼻くその本が出て来たら負けた」とある。
鼻くその本? このメールと前後して、『奇怪ね』が、私の手元に届いた。
パラリとめくると、「朝晩の公園や運動場が大好きだ」とある。