来年度から中学校で柔道や剣道が必修化されるのを前に、全日本柔道連盟(全柔連)が
この夏、安全指導の手引を改訂した。練習中に子どもが死亡したり、重い障害を負ったりする
事故が相次ぐなか、遺族らが昨年3月に「全国柔道事故被害者の会」を結成し、安全指導の徹底を
訴えたことが大きく影響したという。遺族の思いが、少しずつ実を結ぼうとしている。
村川さんが被害者の会の結成に動いたのは、あるデータを目にしたからだった。09年秋、名古屋大大学院の内田良准教授(教育社会学)が
柔道事故の調査結果を公表。1983年度からの27年間で少なくとも110人が死亡していた。
データを紹介したのは、後に会長となる小林泰彦さん(64)。7年前に横浜市立中学に通っていた
三男(21)が部活動中の事故で高次脳機能障害を負った。昨年3月、2人は被害者の会をつくり、
ホームページで多発する事故の実態を訴えた。海外の柔道連盟に問い合わせ、脳振盪などの
対策が進んだ欧米では死亡事故がほとんど起きていないことをつかんだ。東京、長野、大阪で
柔道事故をテーマにしたシンポジウムを開き、頭を打たなくても、投げ技の回転力で脳損傷が起きることを
紹介。村川さんも壇上に立ち、安全対策の強化を訴えた。
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