日本語が難しすぎるせいで帰国する外人が続出
外国人に日本語の壁 看護師候補 離日相次ぐ 極端な低合格率 在留延長実らず インドネシア第1陣
政府間の経済連携協定(EPA)で来日し、日本の国家試験合格を目指す外国人の看護師候補のうち、制度が
始まった3年前に来日したインドネシアの第1陣が7月末までに続々帰国した。政府は来年も受験できるよう
在留期限を1年延長したが、日本語による国家試験の合格率は極端に低く、「こんなに努力しても駄目なら」と
、合格を諦める看護師候補が後を絶たないからだ。九州でもこれまでに、15人のうち12人が帰国した。政府は
制度の抜本的見直しを迫られている。
インドネシアからの第1陣104人は、2008年8月に来日。半年の語学研修を経て、09年2月から九州の
6病院を含む全国の病院で、看護の助手として働きながら、年1回の国家試験を受けた。しかし、難解な漢字や
外国人には分かりにくい日本語の言い回しが多い国家試験の壁は厚く、第1陣の合格者は過去3回で15人にとどまる。
EPAは「来日から3年以内に合格しないと母国に戻る」と規定。昨年までに11人が家庭の事情などで帰国。
規定通りだと、78人が今月初めまでに帰国しなければならなかった。
制度設計や支援態勢が不十分なまま受け入れたことで内外から厳しい批判を浴びた日本政府は、大量帰国で批判が
さらに高まることを恐れ、在留期限を1年延長。ただし、今年2月の国家試験で「300点満点中102点以上」
との条件を付けた。これは合格ラインの203点の半分。68人が来年2月も受験できることになった。
ところが4月以降、条件を満たした人も含め帰国者が続出。厚生労働省によると、第1陣のうち来年の試験を目指す
のは全国で27人にとどまる見通しだ。全国でこれまでの帰国者は計62人。外務省は「結婚など家庭の事情のほか、
『こんなに頑張っても合格できないなら』と燃え尽きたケースもある」と説明する。
外国人看護師問題に詳しい長崎大大学院の平野裕子教授(保健医療社会学)は「日本語能力を高めてから来日させた
り、看護大学への留学と組み合わせたりするなど制度を再構築しないと、誰も日本に来なくなってしまう」と指摘
している。
http://www.nishinippon.co.jp/wordbox/word/6333/8387