民主党が児童買春・児童ポルノ禁止法の改正案をまとめたことで、焦点は既に改正案を国会に提出している自民、公明両党との修正協議に移る。
個人的な所持をどこまで違法行為とするかや、アニメ・漫画などの扱いが修正ポイントとなるが、民主案と自公案の考えには隔たりが大きく、
8月末までの今国会中の合意は難しそうだ。
民主党は09年3月にも改正案を国会に提出している。当時は個人的な所持のうち「有償または反復の取得」を処罰対象としていたが、
今回は「有償かつ反復の取得」とし、違法行為の範囲を狭めた。一方、自公案は単純所持全般を禁止したうえで、
「自己の性的好奇心を満たす目的」の場合「1年以下の懲役または100万円以下の罰金」としている。
09年には、当時与党だった自公案に沿う形で3党が「単純所持の禁止」でほぼ合意していた。それが直後の衆院解散で廃案となり、
空気は変わる。いったん自公案に接近したものの、政権交代で与党となった民主党は「合意はリセット」と強調し始めた。
今回、「捜査権の乱用」を懸念する党内の勢力に配慮して処罰対象をより狭めたことで、自公との距離はさらに広がった。
アニメや漫画について、民主案は法適用の対象外とすることを明文化したことが特徴。党内や出版業界などに
「表現の自由」を損なうとの懸念が根強かったためだ。東京都青少年健全育成条例の改正論議も影響を与えた。
当初案では、子どもの性的行為を過度に描写した漫画を子どもに販売しないよう関係業界に自主規制を求めていたが、
里中満智子さんら著名な漫画家らの間に反対運動が広がったこともあり、表現の自由を前面に出す形となった。
これに対し、自公案はアニメでも実在の子どもの被害を誘発するとの指摘もあることを重視している。
政府に規制の必要性について調査・研究を求めるなど方向性は民主党案と正反対となっている。【堀井恵里子】
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