ミャンマー:「政府と少数民族仲介」 スーチーさん、書簡を公開
【バンコク西尾英之】ミャンマーの民主化運動指導者、アウンサンスーチーさん(66)は28日、対立
が続く政府と反政府少数民族武装組織の仲介役を果たす用意がある、と表明した。スーチーさんは
多数派のビルマ族でありながら少数民族にも人気が高い。政府がスーチーさんの仲介を認める姿
勢を示せば、政府と少数民族の対立は解消へ向けて前進する可能性がある。
スーチーさんは28日、テインセイン大統領と、政府に抵抗するカレン族、カチン族など四つの少数
民族武装組織に対する書簡を公開した。それぞれに即時停戦と対話を要求。さらに「和平に全力を
尽くす」と述べ、自身が仲介役を果たす決意を示した。政府から地方遊説などの政治活動を封じら
れ、活動が手詰まり状態のスーチーさんは、少数民族問題で影響力を発揮し、存在感をアピールす
る狙いがあるとみられる。
地元メディアによると四つの少数民族組織のうち、政府と停戦合意を結んでいるものの武装解除を
拒否して戦闘状態が続く「カチン独立機構」(KIO)幹部は、スーチーさんの呼びかけを強く歓迎。一
方、停戦合意も結んでいない「カレン民族同盟」(KNU)幹部は毎日新聞に「スーチーさんの仲介を
歓迎するが、政府との対話はカレン族抑圧の停止が条件だ」と述べた。
これに対し政府の反応は不明だ。ロイター通信は「呼びかけは政府を怒らせそうだ」と報道。しかし
地元記者の一人は「呼びかけは、スーチーさんと政府高官の会談直後に行われた。政府側がスー
チーさんに少数民族問題で役割を果たすよう示唆した可能性がある」との見方を示す。
3月に民政移管したミャンマー政府は、3年後の14年に持ち回りの東南アジア諸国連合(ASEAN)
議長国に就任することを望んでいる。そのためには、スーチーさんとの対話など民主化問題の進展
や、少数民族との対立解消が必要となる。
http://mainichi.jp/select/world/news/20110730ddm007030154000c.html