.毎日書道展:「近代詩文書」最高賞、後藤さんに会員賞 /秋田
http://mainichi.jp/area/akita/news/20110704ddlk05040004000c.html ◇「魅力を広く伝えたい」
第63回毎日書道展(主催・毎日新聞社、財団法人毎日書道会)の会員賞受賞者が決まり、
県内からは「近代詩文書」の後藤武之さん(49)=秋田市泉中央5=が受賞した。会員賞はグランプリとも呼ばれ、同展会員を対象とした最高賞で、受賞者は全国で26人。現代の書を追求する後藤さんに話を聞いた。【田原翔一】
「神の燈(ひ)の揺(ゆら)ぎて厳し寒稽古(かんげいこ)」
半紙から墨が浮き出すような、立体感あふれる筆致は見る者を圧倒する。「柔らかい羊毛筆を使い、にじみ、かすれを生かして立体感のある作品にしたかった」と後藤さん。力強い線質を生かせるようにと選んだ門岡一笑の一句で、見事に会員賞を射止めた。
「一番大きな目標だった賞を取れて、喜びでいっぱい」と話す。
父の後藤竹清さん(80)=毎日書道会参事、清芽会主宰=は書道界の重鎮。幼いころから師と仰ぎ、指導を受けた。週末は通ってくる父の門下生に交じって練習し、「日常が書道の場」で育ってきたという。「他のお弟子さんと差をつけず、厳しく指導してくれた。
感謝している」と振り返る。
毎日書道展は初めて出品した83年は落選したものの、30代の若さで会員になり、50歳を目前に会員賞。「これからはより魅力ある作品を書かなければいけない。後進の育成にも力を入れていかなければ」と大きな責任も感じている。
現在は高校教諭として書道を教える。ただ、中学3年の長女と小学3年の長男には「他の生徒と同じようには教えづらい」と苦笑いする。
書道の魅力は、筆と墨、白と黒だけでも、にじみやかすれなど多様な方法で自分を表現できることだという。「これからも授業や書展などを通じ、書道の魅力を広く伝えていきたい」と意欲を見せた。