松本人志映画「一発芸の連続」で珍しくわかりやすさ
<さや侍>ある事情により刀を捨てた武士、野見勘十郎(野見隆明)は一人娘のたえ(熊田聖
亜)と流浪の旅を続けていたが、脱藩を問われて囚われの身となり、切腹を言い渡される。絶
体絶命の瀬戸際、変わり者の殿様から「お情け」をかけられる。母親が死んでから笑顔を失っ
た若君に、一日一芸を披露して30日以内に笑わせれば無罪放免というもので、失敗すれば切
腹という難題であった。
監督は松本人志だ。
■素人の野見隆明に台本渡さぬ演出
時代劇という馴染みやすさもあるのか、過去の松本作品と比べてとっつきやすい印象を見る前
から受けた。内容も『大日本人』『しんぼる』に比べて解かりやすい。笑いもテレビで培ってきた
松本人志のコントの手法に近い。
もともと、「若君を笑わせる」というハッキリしたストーリーなので、過去の作品よりも「笑い」がよ
り解かりやすいテーマになっている。ただ、大まかな流れが「一発芸の連続」であるだけに、笑
いが勝ち過ぎてしまうと、映画ではなくコントになってしまうという懸念があったはずだが、幸い
そうはならなかった。
素人の野見隆明を起用し、台本を渡さず、リアルに一発芸をさせ、それを撮影するという舞台
外の「演出」は、作品に独特の雰囲気を与えている。野見隆明と野見勘十郎のパーソナリティ
ーの結合こそが、この作品の最大の見所であろう。
(続く)
http://www.j-cast.com/tv/2011/07/02100002.html