社説:社会保障改革 男は本気で考えないと
菅内閣は本当に危機感が足りないと思う。税と社会保障の一体改革をまとめはしたが
内容はぼかし、閣議決定も見送った。厳しい現実から逃げてばかりの政権に社会保障改
革などできるのだろうか。医療や福祉の亀裂は足元に広がっている。特に男は大変なことに
なることを政府・与党の幹部はもっと知るべきだ。
「男性患者は退院させたくてもどこも引き受けてくれない」。認知症治療に携わっている
堺市の病院の医師は厚生労働省の検討会で語った。認知症で入院治療をしても妄想や
徘徊(はいかい)などの「問題行動」が改善されれば地域で暮らしていける。ところが退院
できずにずっと社会的入院を余儀なくされている人がいる。同病院が原因を分析したところ、
退院できる人とできない人の医学的な有意差は見られず、退院できない主な理由は
「年金額が少ないこと」と「男性」だった。
病院から自宅に退院させようとしても男性患者の場合、家族らが反対して引き受けてくれず、
特養ホームなどの施設を当たっても「うちは男性枠はいっぱいなので」と断られるという。
日常生活ができない、家族やケアスタッフ、ほかの入所者らと良好な人間関係が保てない
ことなどが原因らしい。
一方、失業者や低所得者の生活支援をしている埼玉県内の福祉職員は「最近は独居で仕事も
金もない50代男性ばかりが目立つようになった」と言う。正規雇用から締め出された若年層が
非正規雇用になだれ込み、もともと非正規だった中高年男性が締め出されて仕事を失い、
アパートなどに引きこもっている。生活保護を申請しても50代だと仕事を見つけるよう勧められ、
なかなか認められないという。
続き
http://mainichi.jp/select/opinion/editorial/news/20110704k0000m070143000c.html